口育(こういく)

お子さんのお口・発音で気になることはありませんか?

お口の様子

お口で気になる代表例
  • か行・さ行・た行の発音がうまく言えない
  • 赤ちゃん言葉になっている
  • 会話の時に舌が見える
  • 口で呼吸をしている
  • いつも口をポカンと開けている
  • スマホ・ゲームに集中していると口が半開きになっている
  • いつも姿勢が悪い
  • くちゃくちゃ音を立てて食べる
  • いびきをかく
発音で気になる例
  • 発音がたどたどしい
  • 舌足らずな話し方をする
  • 音を飲み込んでしまう感じがする
  • 鼻にかかったような話し方をする
  • 単語の最後の音を発音しない
  • 発音に癖がある
  • 長い単語を正しく発音できない
  • 発音に詰まりが見られる
  • 発声がこもっている・はっきりしない
  • 発音に伴ってよだれが出る
食事中に気になる例
  • 食べ物をよく噛んでいない
  • 硬いものを嫌がって食べない
  • 硬い物、筋があるものが食べにくそう
  • ストローで飲み物をうまく飲めない
  • 食べ物を口に入れたまま長時間噛んでいる
  • 食事中に口の周りを汚しやすい
  • ゆっくり食べ過ぎて食事が進まない
  • よくむせる
お口に関する例
  • 舌小帯が短い
  • 唇が厚ぼったい
  • 唇がよく乾燥している
  • すぐ風邪をひく
  • 舌を突き出す癖がある
  • よだれが多い
  • 姿勢が良くない

このような症状があるお子さんは、お口周りの筋肉の発達不足や舌の動きなど、お口の成長に問題がある場合があります。

特に発音に関して上記に該当するような4~6歳のお子さんは一度、口育士などの言語専門の先生に相談をすることをお勧めします。

正しい発音には「唇・舌・頬の筋力」と正しい動かし方の訓練が必要で、どちらかが欠けてしまうときれいな発音は出来ません。

適切なアドバイスやトレーニングを受けることで、お口の機能をしっかりとサポートし、健康な成長を促すことができます。

なぜ、お口の筋力不足や舌の動きに問題が起きてしまうのでしょうか

お口の筋肉・舌の動きが弱まる主な原因は、現代の食事環境や生活習慣が関係しています。

食事環境

柔らかい食べ物を食べることもたち

以前に比べ、柔らかい食べ物をとる機会が増えてきました。

食べものが柔らかいと噛む回数が少なく済むため、お口を動かす回数が減り筋肉を鍛える機会が減少します。

また、噛む行為は、お口全体の筋肉や舌の動きを鍛えるだけでなく、お顔全体の筋肉、骨の発達にも影響を与え非常に重要な活動となります。

生活習慣

スマホをする子ども

スマートフォンやタブレットを長時間使うと前かがみの不自然な姿勢となり、肺が圧迫され息苦しさから口呼吸*になりやすくなります。

*鼻の穴(鼻腔)が狭いお子さんは鼻呼吸がつらいために口呼吸になる場合もあります。

口呼吸は、鼻呼吸することで鍛えられる鼻の筋肉が使われず鼻腔が未発達になりやすく、口の周りの筋肉も弱まることがあります。

これらの問題を解決するためには、噛む力を養うために硬い食べ物を取り入れたり、正しい姿勢を心がけること、口呼吸から鼻呼吸に戻すための訓練を行うことなど、適切な口育トレーニングを日常生活に取り入れることで改善を目指します。

口育トレーニングの流れについて

口育訓練は口育専門のスタッフがお子さんの年齢や状態に合わせて訓練内容を作成して進めていきます。

初回診断

初回診断
親御さん・お子さんからお話をお伺いし、お口の状況を詳しく確認します。

歯の状態、噛み合わせ、発音の問題、呼吸方法などをチェックし、必要なトレーニングの内容を検討します。

口唇トレーニング

ボタンプルのボタンとひも
約3cmのタブにひもが付いたトレーニング器具を使います。

ボタンプルでトレーニング中
タブを前歯と唇の間に入れ、唇を閉じた状態でひもを前に引っ張ります。

この時タブが口から外れないように唇を閉じます。この動作を3回繰り返して唇の力を測定します。

舌トレーニング


普段口の中に入っている舌は、なかなか動かしてトレーニングすることが出来ません。

思いっきり舌を出して(あっかんべー)左右に動かしたり大きくグルグル回してみたりしましょう。

ブローイングトレーニング

ブローイングの訓練中
唇や頬周りを鍛えるトレーニングで、吹き戻しを口にくわえ、鼻から吸って息を吐き出す動作を10回繰り返します。

ご紹介したトレーニング内容をご自宅で1日5~10分程度、毎日行って頂きます。

※トレーニング内容、順番などはお子さんによって異なります。トレーニング内容は10種類以上あり、お子さんに合わせて内容をお伝えいたします。

保護者の方へご理解とご協力につきまして

ご家族で一緒に口育を

口育トレーニングは、ご自宅で毎日を行って頂くことがとても重要な要素になります。

トレーニングを行う回数が少ないと、治療効果が薄くなりトレーニング期間も長引きます。

ぜひ、ご家族の皆さまご協力のもと、お子さん・スタッフと一緒に効果的なお口のトレーニングを行えればと思っています。ご理解、ご協力をお願いします。

口育のQ&Aについて

口育について、よくご質問を受ける内容についてご紹介いたします。

Q.お口・発音について、何歳ぐらいまで様子を見ればよいですか
A.

お子さんの発音や発達には個人差がありますが、一般的に5~6歳頃までにいろいろな発音が正確に出来るようになると言われています。

「か行・さ行・た」の発音がしにくい場合は、舌や口の筋肉の発達が関係していることが多いです。

3歳前後ではまだ発音がたどたどしく言葉がはっきりしないこともよくあります。

4歳を過ぎても「発音が悪い・発音が気になる」と感じる場合は、一度の口育士などのスタッフにご相談することをおすすめします。

Q.口呼吸がなぜよくないのでしょうか
A.

むし歯・歯周病のリスク

口呼吸は、口内が乾燥しやすく唾液の働きが弱まります。

唾液には「細菌の洗浄・酸(歯を溶かす原因)の中和・歯の再石灰化(食事で歯の表面が溶け出した状態を修復する)・抗菌作用」があります。

唾液が減ってしまうとこれらの機能が低下し「むし歯・歯周病」のリスクが高まります。

風邪やアレルギーなどの原因

鼻呼吸の場合、空気中に含まれる細菌・ウイルスや埃を鼻毛や粘膜がキャッチして防御しますが、口呼吸ではその防御機能なく、これらが喉や器官に直接触れるため風邪やアレルギー等の原因に繋がりやすくなります。

顎の発達と顔の表情への影響

口で呼吸すると口を開けたままの状態になることが多く、口を閉じる行為が減ります。

すると舌や唇の筋力が弱くなり、発音や顔の表情にも影響が出ることがあります。

歯並びへの影響

鼻呼吸では舌が上がった状態で上顎を支えていますが、口呼吸では舌が下がった状態になります。

そのため上顎を支えることが出来ずに、狭くなり歯が並ぶスペースが不足し歯並びの乱れに繋がります。

また顎の発達阻害や口周りの筋肉の低下も歯に影響を与え、歯並びへの乱れに繋がります。

Q.どのくらい通院すれば改善しますか
A.

お子さんのお口の状態、ご自宅でのトレーニングを欠かさず行って頂いているかなど、複数の要因があり、一概にどの位通院すれば改善するかは、お伝えしにくいです。

初回のご説明時や都度トレーニング状況を見て確認しながら、スタッフから大まかな期間(目標)をお伝えできる場合がありますので、担当スタッフにご相談ください。